◆浮かび上がる犯人像◆

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次に二つ目 『組織的な犯行説』 実はこの事件が起きてから事件解決に向けて動いていた周囲の人達や元警部補飛松氏にもまるで事件に関わるなと言わんばかりに不可解な事故や電話、拉致未遂などが相次いでいる。 マスコミの取材を受けた矢島さんの同僚の薬剤師の元には脅迫電話と思える怪しい電話が掛かってきた。 『犯人を知ってんのか?』 『マスコミにいらんこと言うなよ』等の圧力ともとれる匿名の電話であった。 そしてそれは薬剤師本人の携帯電話に非通知で掛かってきたものだった。 院内の固定電話ならまだしも何故薬剤師個人の携帯番号を知っているのか? そしてこの事件を独自に捜査している飛松氏に至っては何者かに拉致されそうになったという。 いつものように聴き込みをして帰路に着こうと駅に向かっていた飛松氏は横断歩道付近で駅手前の道路の路肩に黒い高級車が2台止まっているのが目に入った。 しかし気にせず道路を渡り駅構内に入ろうとした時、前方両側から黒いスーツを着た男二人が現れた。 男らは『飛松さんですよね?』『飛松さん?』等と飛松氏本人かどうか確認してきたという。 進行方向を後ろに変え別の入り口に向かおうとした時、その目の前にはもう一人黒スーツの男が現れた。飛松氏はこの時『やられた』と思ったそうだが、どうもその三人は飛松氏本人の顔を確実に知っているようではなかったという。 飛松氏はとっさに『違います』『他人の空似』とシラをきり、隙をついて駅構内に駆け込みからくも逃げ切る事が出来たという。 飛松氏によると明らかに誰かに雇われて指示、命令されてやっているようだったとの事だ。
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