◆浮かび上がる犯人像◆

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佐藤さんも元々は釜ヶ崎で矢島さんの担当する患者だった。 酒を浴びるほど飲む毎日で、診察に訪れた矢島さんにはいつもお酒を控えるようすすめられたという。 矢島さんの親身になってくれる優しさを感じ、考えを改めてアパートを借り、仕事にも精を出し始め、それと並行して矢島さんとともにボランティアにも参加するようになった。 自分でもここまで変わるとは思っていなかったと語る佐藤さんはここまでこれたのは矢島先生のおかげだとマスコミに語っている。 そんな佐藤さんは矢島さんは間違いなく誰かに殺されたと確信しているという。 そして事件から二年が過ぎようとしていた時、佐藤さんは『ある事』を遺族に告げた。 矢島さんが亡くなる少し前、彼女はマスコミ関係者に会っていたというのだ。 そしてその事実からもう一つの仮説である裏の組織の介入がある可能性が出てきたのである。
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