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◆不可解な点◆
矢島さんの遺体は確かに溺死だった。
しかし自殺で片付けるには不可解な点がいくつもあった。
まず外傷だ。
矢島さんの後頭部(頭頂部付近)には3cmほどのコブと左耳から首の辺りにかけて青いアザ(圧迫痕)があった。
西成署はこのコブやアザを「遺体を引き揚げる時と降ろす時に出来た傷だ」としたが、医師として働く矢島さんの両親はその可能性を否定した。
コブやアザは人間が生きている時、すなわち生命反応がある時に出来る傷だからだ。
心臓が脈打つ(血流がある)時にしかコブやアザは出来ない。
また、遺体発見時、矢島さんの遺体は水死体であるにも関わらず死後硬直していたという。
死後硬直とは亡くなってから体の筋肉が硬化していく現象で個人差はあるものの死後約12時間程度で全身が硬化する。
ただ、それは遺体を全く動かさない状態で起こる現象だ。
稀に例外はあるが、基本海で溺死すれば波や海中にいたのであれば海流等の影響で、腕や脚の関節が動き、死後硬直になりにくいのである。
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