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そんなこんなで平和な日々が続き、俺は三歳になった。
いつものように夕食を食べていると、不意に父、レイダスターが話しかけてきた。
「なあ、エスティ。何か欲しい物とかは無いか?」
急な父の言葉に驚くエスティ。しかしそれは顔には出さない。
「欲しい物ですか?突然どうしました?」
三歳児とは思えないほど流暢に言葉を話すエスティ。すでに本の内容は殆ど読めるようになっている。理由は、理解能力が高い、というのもあるが主な理由としてはわからない言葉は母や父が教えてくれるからだ。そんな日々を二年程過ごしてきたので前世の記憶を持っているエスティには言葉を話す事は容易だった。
「いや、な。エスティは本とかたくさん読んでいるだろ?それで興味を持ったこととか無いかと思ってな。遠慮せず言うんだぞ」
そう言われ、少し考えてみる。
興味を持ったことは沢山ある。あり過ぎるくらいだ。
しかし欲しい物、というのはこれといって思いつかない。
「今は…無いですかね。後になってから出て来るとは思うので、その時でいいですか?」
「そうか、わかった。」
実際、三歳でこれ程流暢に言葉を話すのは異常である。エスティがそれを知ってるかは分からないが、常識的には異常であり、この世界の人間であるレイダスターはそれを分かっている。さらに、年に見合わない本を見るので 、
(この子はとても才能に溢れてるのでは無いか)
ということを思ったらしい。
それなら好きなことをやらせてみよう、という配慮でもあったのだ。
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