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酒で酔わせ、あわよくば…
そんな最低な事を企んでいたあの日。
初めて入った彼女の部屋は、彼女らしい柔らかな香りで満ちていた。
決してキツくはないけれど、確かに彼女の部屋だと分かる香り。
そんな部屋に入ったのは初めての事で。
俺が訪れる部屋は大抵がキツイ香水の香りを放っていた。
甘ったるく纏わり付く様な匂い。
それと変わらぬ女…。
思えばそういう女は後腐れが無かったからなのかもしれないけれど。
そんな女ばかりを選んで…
いや、寄って来てた。
誘われれば流れでそのまま。
そして1度きりが殆ど。
別にそれで困る事も無かった。
都合のいい女なんてその辺に居たから。
遥ちゃんみたいな…
あんな女は初めてだったんだ。
一途でブレない女。
そんなの壊してやるって思って横槍を入れても。
俺に靡く事も無くひたすら真っ直ぐだった。
そんな女には出会った事が無かった。だからあの男が妬ましくて。
壊してやりたかった。
けれど、結局はただ自分に無いモノを持ってる事に僻んでいただけ。
俺にはソレが手に入らないと分かって。
どーでもよくなり、冷めた。
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