はじまり

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週明け。 年末のこの忙しい中、厄介な事を抱えてしまい頭が痛くなる。 「鈴川ちょっと」 「あ、はい」 キーボードを素早く打つ手を止め、俺の後をついてくる。 フロアのすぐ横の小会議室へ入り、腕を組んで壁に凭れる。 鈴川は扉を閉めるとその前へ立った。 「メールでも伝えたけど、詳しく打ち合わせたいんだ。今夜空いてる?」 「今夜…ですか。空いてますけど」 「じゃ、そのまま空けといて。場所は後で連絡するから」 「分かりました」 ニコッと微笑む鈴川。 が、急にニヤついた。 「…何か…あれですね」 「なに?」 「秘密のオフィスラブみたいですね」 「……」 何言ってんの? 秘密のオフィスラブって。 あながち間違いでもないが… 鈴川のその妙なノリに湧いたほんの悪戯心。 「本当にそうしてみる?」 鈴川のプクッとした唇を眺める。 キスしたら美味そうだなとか… 「…しませんよ」 微笑んで見下ろしてたのに、嫌そうに睨まれた。 ま、そりゃそうだ。 鈴川は俺に興味なんて無い。 まして火遊びするタイプでもないのだから。
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