1534人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
週明け。
年末のこの忙しい中、厄介な事を抱えてしまい頭が痛くなる。
「鈴川ちょっと」
「あ、はい」
キーボードを素早く打つ手を止め、俺の後をついてくる。
フロアのすぐ横の小会議室へ入り、腕を組んで壁に凭れる。
鈴川は扉を閉めるとその前へ立った。
「メールでも伝えたけど、詳しく打ち合わせたいんだ。今夜空いてる?」
「今夜…ですか。空いてますけど」
「じゃ、そのまま空けといて。場所は後で連絡するから」
「分かりました」
ニコッと微笑む鈴川。
が、急にニヤついた。
「…何か…あれですね」
「なに?」
「秘密のオフィスラブみたいですね」
「……」
何言ってんの?
秘密のオフィスラブって。
あながち間違いでもないが…
鈴川のその妙なノリに湧いたほんの悪戯心。
「本当にそうしてみる?」
鈴川のプクッとした唇を眺める。
キスしたら美味そうだなとか…
「…しませんよ」
微笑んで見下ろしてたのに、嫌そうに睨まれた。
ま、そりゃそうだ。
鈴川は俺に興味なんて無い。
まして火遊びするタイプでもないのだから。
最初のコメントを投稿しよう!