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行きつけのバーで飲みながら、あの後の出来事を話した。
「そうだったんですか」
「俺の読みが甘かったよ」
グラスの縁をなぞりながら口を尖らせている鈴川を横から眺める。
鈴川はすらっとした長身で美人なのにそれを鼻にかけないサバサバした感じの奴だ。
が、接点のない男にとっては高嶺の花に見えてるらしい。
勝手なイメージで近寄り難くなってるだけなのに。
ま、鈴川に男がイナイのが不思議に思われてるらしいが。
「鈴川はどうだったの?」
「あー…何ですかね、ここまで似てくると笑えて来るって言うか、怖いんですけど」
若干引き気味に話す口調は重たくて。鈴川もあまり上手く事が運ばなかったというのが窺える。
「聖さんとほぼ一緒?です」
「一緒って?」
「父が進めてきた相手が諦めてくれなくて…一度だけでもデートしてから判断して下さいって言われたんですよ、聖さんも同伴で」
「は…被るね」
ここまで似た境遇だと笑いすら通り越して、気持ち悪くもなってくる。
ふと、ある考えが浮かぶ。
「…日にち、一緒にしようか」
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