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「乗って?」
俺がそう言えば、恥じらう事もなく笑みを浮かべて跨り揺れる女。
その熱する顔を何処か冷めた顔で俺は見上げる。
それを女がどう捉えるのかは知らないが、恍惚とした顔で果てて満足していく。
「また連絡してね」
「分かった」
ただの社交辞令で二度と会う事はない。
これが常であって、当たり前のようになっていた。
見栄えだけに寄ってくる女しかいなかった。
それか親の肩書き。いずれ俺もそれを受け継ぐ事になるだろうと…勝手に損得勘定して寄ってくる女。
だから何処かひねくれてしまった俺の性格。
恋愛なんて体の繋がりを求める為だけの単なる遊びでしかないと思っていた。
誘われればそのまま流れで。
いつしか次第にそれも面倒になり、しなくなった。
このまま変わらない日常が続くのかと思うとうんざりしたからだ。
そして変わる事もないと思っていたんだ。
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