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そして目論んだ通り、後日相手側から断りの連絡が来た。
川岸は次女の里沙より、長女の紫の方が今後の得だと判断したのだろう。
紫は紫で、やり手の川岸の方がマシだと思ったのだろう。
相手から断りの連絡を入れる事でプライドは保たれた筈だ。
「…本当に、上手くいきましたね?」
「まぁね?半分はカケだったけど」
行きつけのバーのカウンターに座りながら、グラスの中の氷を回して笑う。
「上手く行くかなかったらどうするつもりだったんですか?」
「んー…その時はその時かな」
「…嘘だ。何かまだ企んでそうだし」
「それはどうかな」
フフッと笑みが零れる。
「あ…その笑いはアヤシイ」
「そんな事は無いよ」
「ぜったい嘘だ」
プクッと頬を膨らませて…
子供みたいな顔をする里沙。
見た目と似つかわしくない行動を取る事が多々ある。
以前よりも素の表情を晒す様になってきた証拠だと思う。
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