1534人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
駅近くのホテルのケーキ。
ショコラタルトが人気で、里沙の母親も好きだと言う。
「あーどれも美味しそう!」
ガラス越しに里沙が目を輝かせている。
前から思ってたけど、里沙は美味しいものが好きらしい。
美味しいものは本当に美味しそうに食べる。
食事途中でカマトトぶってもう食べられないなんて言わない。
腹が満たされるまで食べる。
それを見てるのは嫌いじゃない。
寧ろ楽しい。
この細い体の何処にそんなに入るのかと感心すらする。
「食べたいの買ったら?」
「えーでも、ショコラタルトも食べるし、お母さんのご馳走も食べる事を考えたら…」
ブツブツと自分の腹の許容量を考えて迷っている。
「ふはっ!」
思わず笑いが溢れた。
「今日が無理ならまた今度来て買えば良いよ」
「そっか。でも、シフォンケーキも捨てがたい…」
1度は納得したものの、食べたくて仕方ないらしい。
「じゃ、自分用に別で包んでもらったら?」
「あ、そっか!そうしよ」
途端に笑顔になった里沙。
全然社長令嬢に見えない。
そんな事を鼻にかけないのが里沙なのだが。
最初のコメントを投稿しよう!