進行

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駅近くのホテルのケーキ。 ショコラタルトが人気で、里沙の母親も好きだと言う。 「あーどれも美味しそう!」 ガラス越しに里沙が目を輝かせている。 前から思ってたけど、里沙は美味しいものが好きらしい。 美味しいものは本当に美味しそうに食べる。 食事途中でカマトトぶってもう食べられないなんて言わない。 腹が満たされるまで食べる。 それを見てるのは嫌いじゃない。 寧ろ楽しい。 この細い体の何処にそんなに入るのかと感心すらする。 「食べたいの買ったら?」 「えーでも、ショコラタルトも食べるし、お母さんのご馳走も食べる事を考えたら…」 ブツブツと自分の腹の許容量を考えて迷っている。 「ふはっ!」 思わず笑いが溢れた。 「今日が無理ならまた今度来て買えば良いよ」 「そっか。でも、シフォンケーキも捨てがたい…」 1度は納得したものの、食べたくて仕方ないらしい。 「じゃ、自分用に別で包んでもらったら?」 「あ、そっか!そうしよ」 途端に笑顔になった里沙。 全然社長令嬢に見えない。 そんな事を鼻にかけないのが里沙なのだが。
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