1534人が本棚に入れています
本棚に追加
先に里沙が入り、両親が揃ってるのを確認してから俺をリビングへと通してくれた。
「聖さん来たよ」
リビングへのソファーに座っている父親と母親に声を掛けた里沙。
「初めまして。私、里沙さんとお付き合いさせて頂いてます、山中 聖と申します」
母親が笑顔で出迎えてくれたので、頭を下げた。
「こちら好きだとお伺いしましたので、宜しかったら召し上がって下さい」
「あら、お父さんの好きなお酒。私の好きなケーキまで…ごめんなさいね気を遣ってくれて。有難く頂くわ」
柔かに微笑んでくれた。
その笑った顔が何処か里沙に似ている気がした。
「お茶いれるわね」
「ありがとうございます」
母親がパタパタとキッチンへ行く。
「ねぇ、お父さん、聖さん来てるんだけど?」
俯き加減で新聞を読んでいる父親に、里沙が抗議する。
それでも新聞から目を逸らさない父親。
「まだ拗ねてんの?」
「…ンンッ、拗ねてなどいない」
咳払いをし、ボソリと呟いた。
「じゃ、ちゃんと見てよ。子供じゃないんだから」
「分かってる」
仕方なさそうに新聞を折り畳むと顔を上げた。
最初のコメントを投稿しよう!