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俺が言った言葉に、一瞬だけ目を見開いた父親。
「フン、世辞などいらん」
「もう!お父さん!」
父親の屈折した態度に苛立つ里沙。
「ふふ。お父さんも素直じゃないんですから。山中さんのお宅では団欒は有りまして?」
父親と里沙の様子を柔らかな瞳で見つめた後、俺に向き直って聞いて来た。
「いえ、無いに等しいです。食事も皆バラバラですし、家族皆が揃うのは年末年始位なので」
そう。俺の家は皆がバラバラ。
別に家族仲が悪い訳では無いけど、お互いが忙しい為に時間が会わないのだ。
「まぁ…そうなの。それは寂しいわね。ご兄弟はいらっしゃるの?」
人の事なのに本当に寂しそうな顔をする母親。
「兄と弟が居ます。寂しく無いと言えば嘘になりますが、幼い頃からなので慣れています」
俺がそう言うと、更に寂しそうな顔をする。
「けれど、こうして里沙さんとご両親の仲の良さを窺って、やはりあたたかい家庭を作りたいと言う思いが強くなりました」
口からポロポロと出るセリフ。
まぁ、あながち嘘でも無いけれど…
里沙の家族の仲の良さは羨ましく思えた。
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