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「まぁ、私達を見てそう言って頂けるなんて嬉しいわね」
柔らかく微笑む母親。
父親は片眉を上げて難しい顔をする。
「里沙さんと一緒にいると楽しくて…実は、どんな家庭で過ごして来たのか知りたかったんです」
これも決して嘘じゃない。
見掛けだけでなく、ちゃんと内面を見る様な人柄に育つには両親の影響も有ると思ってたから。
どんな親なのか興味はあった。
チラリと里沙の方を見ると、意外だって眉を寄せた顔をしている。
その顔は無いんじゃないの?
「嬉しいわね。いつもはもっと賑やかなのよ?里沙の姉夫婦と、妹が居るから」
「そうなんですか?では、次は都合が宜しい時にまた伺っても良いでしょうか?」
「もちろんよ。きっと皆も喜ぶと思うわ」
ニコニコと人の良さそうな母親。
少しは気に入って貰えたと思う。
「フン!勝手にすれば良い」
父親はまだ片眉を上げたまま腕を組んでいる。
どうやら父親に気に入って貰うまでには時間が掛かりそうだ。
手強いぞ頑固親父。
「申し訳ないのですが、お願いがありまして…」
だからここは正直に伝えておかなければと思っていた。
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