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「私の都合で申し訳ないのですが…親族が会するパーティに里沙さんをお連れしたいと思っております。ですが泊りがけになりますので、ご両親にお許しを頂きたいと思いまして…」
包み隠さずに伝えておかなければならないと思った。
きっと、里沙の父親はコソコソされるのが嫌いだろうから。
真っ直ぐに目を見て伝えたかったけれど、父親は目を合わせてはくれなかった。
「あら、素敵じゃないの。里沙、ドレス新調しなくちゃね」
楽しそうに目を細める母親はどうやら賛成してくれるらしい様子。
「お父さん、大丈夫ですよね?」
「…知らん」
母親の問いに対してそっぽを向く父親。
「もう、山中さんは敢えてこうして言って下さってるんですから、里沙を大切に思って下さってる証拠でしょう?」
「フン!日帰りじゃ無理なのか」
「申し訳ありません。2晩続けて有るものですから…宿泊でないと厳しいもので」
ギロリと睨んでくる瞳は、俺を試しているかの様で。
笑顔を崩せなかった。
「ヘラヘラしてる奴は好かん。素を見せろ」
「…素…ですか?」
内心ドキリとした。
里沙との関係を疑われたのかと。
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