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「おい、アレを頼む」
母親に目で合図をする。
「あぁ、はいはい。もう素直じゃないんですから」
ニッコリ微笑むと、いそいそと何かを取りに向かった。
「聖さん…何か、ごめんね?」
里沙が小声で申し訳なさそうに耳打ちしてくる。
「ん?大丈夫だよ」
コレはコレで楽しいから気にしないでね。と耳打ちする。
実際、人との腹の探り合いは昔から楽しんで来たから苦ではない。
「…ありがとう」
何故か複雑そうに笑った里沙。
それに微笑み返した。
「俺の前でイチャつくな」
「別にイチャついてないから」
里沙が呆れた顔で返していると、母親が戻ってきた。
「お待たせ」
ニコリと微笑んでテーブルに並べる、ショットグラスとイェーガー。
「おい、付き合え」
またもギロリと、けれど今度は挑む様に見上げてくる。
「喜んで」
それにニコリと返した。
いきなりイェーガーって…
度数けっこう高いんだけどね?
呑み比べをするって事?
相当な酒好きらしい。
地酒渡しといて何だけど。
ま、酒は弱くない方だ。
果たしてこの酒の強そうな父親と、どこ迄呑み比べられるだろう。
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