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「はぁ…きっつ」
里沙の部屋のソファーに深く凭れ天井を仰ぐ。
「お父さんと結構呑んでたから…聖さんてお酒強いね」
ソファーの後ろから俺の顔を覗き込んできた。
「てか、親父さん強過ぎでしょ」
はは。と、笑いながら感心してしまう。
「聖さん、ごめんね?」
申し訳なさそうに笑う里沙の顔に、ふっと笑みが溢れる。
「謝らなくていいよ。俺もこれから里沙に協力してもらう事になるんだからね。お互い様だよ」
「あー…それもそうか」
納得した里沙は、くしゃりと顔を崩した。
「ねぇ里沙、水くれるかな」
「あ、うん。待ってて」
部屋を出て、パタパタと遠ざかる足音。
薄いピンクの壁紙や家具をぼーっと眺める。
サバサバしている性格とは裏腹な、この女性らしい部屋。
ほのかに甘い香りが鼻を擽る。
押し付けがましいキツイ香りではなく、相手を不快にさせない程度の甘い香り。
それがまた里沙らしい。
遥ちゃんもそうだったな。なんて思い出した。
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