1534人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
暫しお互い呆然とした後に事情を聞いてみれば、何の事は無い。
同じ状況だった訳だ。
俺は社長息子で鈴川は社長令嬢。
俺の脳裏には、ある案が浮かんだ。
「鈴川、取り引きしない?」
「取り引きって何ですか」
怪し気に俺を見上げてくるけれど、どうやら急な提案に耳を貸してくれるらしい。
「鈴川が良ければの話なんだけど…俺を鈴川の男にしてくれない?」
「…は?」
あからさまに睨んでくる。
いきなりの話だから当たり前の反応なのだけれど。
「フェイクだよ」
短略的に説明するだけで鈴川になら伝わると思った。
すると、少し俯いて顎に手を当てて考え込んだ鈴川。
「良いですね…ソレ」
ニヤリと怪しい笑みを浮かべてきた。
「話が早いね。鈴川ならそう言ってくれると思ったよ」
俺も怪し気に微笑んで返す。
「詳しい事は後にして、取り敢えず今をどうしますか?」
「そうだね。まずは…」
鈴川に耳打ちをしながらも
悪戯が成功する事を想像してはしゃぐ子供みたいに、俺の胸は弾んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!