はじまり

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暫しお互い呆然とした後に事情を聞いてみれば、何の事は無い。 同じ状況だった訳だ。 俺は社長息子で鈴川は社長令嬢。 俺の脳裏には、ある案が浮かんだ。 「鈴川、取り引きしない?」 「取り引きって何ですか」 怪し気に俺を見上げてくるけれど、どうやら急な提案に耳を貸してくれるらしい。 「鈴川が良ければの話なんだけど…俺を鈴川の男にしてくれない?」 「…は?」 あからさまに睨んでくる。 いきなりの話だから当たり前の反応なのだけれど。 「フェイクだよ」 短略的に説明するだけで鈴川になら伝わると思った。 すると、少し俯いて顎に手を当てて考え込んだ鈴川。 「良いですね…ソレ」 ニヤリと怪しい笑みを浮かべてきた。 「話が早いね。鈴川ならそう言ってくれると思ったよ」 俺も怪し気に微笑んで返す。 「詳しい事は後にして、取り敢えず今をどうしますか?」 「そうだね。まずは…」 鈴川に耳打ちをしながらも 悪戯が成功する事を想像してはしゃぐ子供みたいに、俺の胸は弾んでいた。
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