1534人が本棚に入れています
本棚に追加
/123ページ
「それじゃ、後でまた」
「分かりました。課長、これからお願いしますね」
嫌味なく他意の無い笑みを向けてくる鈴川。
俺に興味が無いからこそのその顔に、この関係の安全性を再確認して。
「鈴川、その課長ってやめない?」
「あ…それもそうですね。では、聖さんで」
「ん、それが良い」
お互いに微笑み、納得する。
連絡先を交換した俺達は、それぞれ先程の場所へと戻る事にした。
嵌められたとは言え相手側の顔もある訳だから、今日は取り敢えず我慢して。
後日、親に挨拶に伺うという段取りにしたのだ。
なので、今日を乗り切れば良いだけの話になる。
それだけで今後こう言った嵌められ方をしなくて済むと思うと、自然と笑えてくる。
今日は最悪な日だと思っていたのだが、そうでもなくなったのだから。
幾分軽くなった気持ちと足取りで、先程の部屋へと入る。
最初のコメントを投稿しよう!