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カーテンの隙間から入る日差しが、きらきらと光輝いている。
差し込む光は、真新しいベッドでスヤスヤと眠る、部屋の主である青年の輪郭を浮かび上がらせていた。
真っ白で柔らかそうな髪は煌めき、繊細な絹のよう。
同じく白い肌は、透き通るような、ぬめりとした色気がある。一目で青年と判る容(かたち)なのだが、現実的ではない、整いすぎた美しい顔であった。
薄闇であっても、その穏やかな表情が見てとれる。まるで彼自身から光が発しているかのような白さである。
その姿はまるで天使のようで、仮に彼の寝姿を見ることができる者が居たならば、絵画を鑑賞している気分になるだろう。
ふと、
青年の長い睫毛が揺れる。
ゆったりとした動作で瞼を開くと、
徐々に真っ赤な瞳が露になった。
彼はぼんやりとしながら身体を起こし、後頭部を軽く掻くと、
壁に向かってにっこりと笑いかけ、
高くもなく低くもない声で、「お早う」と挨拶をした。
とても気持ちの良い朝だ。
何せ、10年振りに2時間以上、安眠できたのだから――
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