Epilogu

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 持てる集中力の全てを発揮し、慎重に作業していたところ、ふと気付く。  「もう、貼るとこが、無い」  彼は頭を抱え、蹲り、己の欲深さを呪った。  昨日どうしてもこの自室に貼りたくなった画像を、秘蔵データの中から20枚程プリントアウトしたのだ。  元々隙間無く貼られているのだ、20枚も更に追加する余地は無い。  彼は浮かれすぎていて、そのことが頭から抜け落ちていたのだ。 ――これが戦闘なら、オレは死んでいたかな。  勝手に流れる心の声に、彼自ら驚き唖然とする。  一拍おいて、  「ふ、ふふふ……くくく、あっははははははは!」  つい楽しくなり、彼は部屋中に響き渡る大声で頭を抱えながら笑った。  目は見開き、とても笑っている人間がするような表情ではない。
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