110人が本棚に入れています
本棚に追加
ぴたりと無表情になり、何事も無かったかのように立ち上がると、機械的に彼は部屋に在るドアの一つを開ける。
「トイレは……さすがに、見られているみたいで、嫌だなあ」
便器を見ながら苦笑して、ドアを閉めた。
「そうだ! 壁を壊して、隣の部屋と繋げればいいのか!」
その場合、勿論住人は殺さなければならない。
「でも、此処から追い出されたら嫌だし……」
うーん、と彼は天井を見上げ、考える。
はっとして、彼は歪な笑顔を浮かべた。
顔半分は泣き出しそうで、もう半分は満面の笑みだ。
「そっか……オレは、オレはなんて馬鹿なんだ!」
何故、今まで思いつかなかったのか、
「コレが戦闘なら! 死んでいたよね! ね」
彼は狂喜乱舞し、くるくると廻りながら床に倒れ、仰向けに大の字を描き、
「――天井が、あるじゃないか!」
幸せ過ぎて、
昼時までずっと笑い続けたのだった。
最初のコメントを投稿しよう!