第一章「幼なじみと自分の行方」

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部活を終え帰宅する。 時計を見ると午後7時を回っていた 家には妹しかいない。 家族構成は妹1人、留学中の姉1人、父は僕が4歳の頃に他界、女手一つで3人を育てている母は出張中だ。 と、まあそんな感じで妹に勝負を挑むには絶好のチャンスである。 「聡美ー!ちょっと来ーい」 「なんだー、兄ちゃん」 直ぐに階段から落ちるかの如く降りてきた。 「いや、久々にゲームやらないかと思ってね」 「いいよ。今度こそ負けないからね!」 聡美とか言う名前だと清楚そうなそれこそ部長の様な姿を想像するのだが、この聡美に関しては正反対も良いところである。 体育会系という方が正しいほどの運動神経の持ち主が県内トップのゲーマーだとはとても思えなかった 「あ、でもご飯食べないと。私さっき作ったんだよ」 「ん?あぁ、そうだな。食べてからだな」 取り敢えず夕食を食べ、妹が食器を洗っている間に僕がゲームの準備をする。 「じゃ、やるか」 「オッケー」 ゲームを開始し車とコースを選択する。 自分も聡美もいつも通りの車種だ。 レース開始 最初は聡美が勝っていたがCPUに当たって少し遅れた隙に抜く。 その後最終ラップまでピッタリと後ろをつけてくるだけだ。 「なあ、聡美。お前手ェ抜いてないか?」 「何言ってるの?私は本気だよ?」 あまり妹を疑いたくはなっかたが続ける。 「そうなのか?県大会優勝そして全国ベスト8がその程度なのか?先輩の方が早かったぞ?」 その時、聡美の目つきが変わった。 「ふーんそんなの知ったんだ~。部活ででも聞いてきたの?まあ、分かった見せたあげる私の腕を」 その後は予想した通りすぐさま差をつけられてしまった。 全く歯が立たないと実感が湧く。 「今回は8割ぐらいかな~」 これでも8割だという妹に驚きの目を向ける僕。 「す…すげー!これが県大会優勝者か。」 「ありがと。そういえば兄ちゃんゲー研の人今度紹介してよ」 「ああ」 その後もやったが全く勝てなかった。 今まで得意と思っていたゲームで惨敗したのもあるがこんなに上手くなれるという希望感で涙腺が少し腫れていた。
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