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髪を乾かして、恭が持ってきた紙袋を開けてみる。
入っていたのは、
「下着?」
とツィードのワンピース。
下着は可愛いけれどそのレースは上等なものだとすぐ分かる。
そして、サイズも
「ぴったり……」
アンダーは苦しくない、トップだってピッタリフィット。
「――なんで!?」
思わず叫んで自分の口を両手で覆う。
リビングのほうを伺ってみるも、聞こえてくる声も音も無く、詩織はホッと胸をなでおろした。
何でサイズが分かったんだろう?
…………
…………
昨日、見たから?
なんて考えに頭は沸騰、顔は茹ダコ。
だから頭を振って、大きく深呼吸して、落ち着けて。
「ワンピ! そう、ワンピ着よ!!」
なんて自分に言い聞かせて、恭のセレクトしたワンピースを身に付けた。
「ちょっと、大人かな?」
いつもはピンク系の服が多いけど、恭の選んだのはベージュ。
スクエアの襟元にパフスリーブでほんの少し可愛く、
だけど、全体的にはいつもより『大人』な雰囲気。
「こういうのが、好きなのかな?」
なんとなく、恭の色に染まった感じがして――。
パチンと両頬を軽く叩いてみる。
「浮かれすぎだって」
鏡の自分にそう言い聞かせても、にやけた顔は戻らない。
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