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私と奈良崎 絵理はよく似ている。
認めたくはないが、これは事実である。
彼女の好物であるサンマの塩焼きは私も好きだし、私が嫌いなイカの塩辛を彼女も嫌悪している。食べ物のことだけではない。着ている服やよく買うCD、漫画さえも同じものが好きである。
以前近くの本屋にいったとき、偶然にも彼女がいた。彼女の頭のてっぺんから足先まで、細かい部分は違っているのだが、鏡を見ているようにそっくりなのだ。
彼女はレジで会計をすませて、本屋を出ようとしたところで私の存在に気づいた。なにごともない風に通り過ぎようとする彼女に、なにを買ったのかきいてみると、少年漫画の最新巻が袋から出された。
私の部屋の片隅にある本棚に同じ少年漫画の最新巻が並んだのは、その日の夕方だった。
部屋を隅々までみわたすと、おそらく、いや確実に同じものが彼女の部屋にもあるに違いない。
それほどまで似ているのだが、私はなぜか彼女のことが好きになれない。同族嫌悪というものだろうか。
いや、嫌悪というよりも負けられないという対抗心がある。
その彼女に彼氏がいるという噂がどこからともなく風に流されてきたのは、かれこれ4ヶ月ほど前である。
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