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 ぽたり、額から流れた汗がおちる。  窓の外から侵入してくる熱気。どうやらそいつらは扇風機ていどの風力では追い出せないらしい。決してお友達にはなりたくない『夏休みの友』がぬれて厚みをました。 「ダメだ。やってられない。」  私は鉛筆と不仲な友をカバンに押し込んだ。  外だ。外に行かねば。  こんな家の中で宿題なんかしていても出会いなんかない。しかしこれが外の、たとえば図書館なんかにいったとなれば、宿題以外のお友達が話しかけてくるかもしれない。  しかも……。  引き出しの奥に隠した写真をこっそりと取る。  地域の子供会で花火をした時の写真。中央には浴衣を着た小学生の私がいて、すみには別の人間がおさめられている。  この写真をみるたびに、私の顔はどうしてもにやけてしまう。  図書館に行けば、もしかしたら堀内先輩に会えるかもしれないではないか。  堀内先輩というのはひとつ上の学年の先輩だ。  本名は堀内 安行(やすゆき)。ふたご座のAB型。色白の細身で、読書をこよなく愛している。  そして学校の本はすべて読みつくしたらしく、隣町の図書館を利用しているという噂だ。  つまり、今ここでうだうだと宿題をしていれば堀内先輩に出会う確率はゼロに等しいが、図書館に行けばその確率はグッとあがるわけだ。
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