狂った輪廻

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夢を見ている 夢の中にいる これは夢だと そう云っている 冷たい刃で貫く このドロドロの液も 赤い汁も すべてが夢だと そう云っている 痛みは本物? 感触は?温度は?体温は? 味覚はあるよ だって これは鉄のような血の味 銀が朱に染まる 舐めとってみようか この舌で きっと誰の血かなんて わからないよ だって これが夢でないのなら この体は痛い筈でしょう? 白銀の刃に貫かれた 真っ赤なこの体 どうしようない痛みに 君は言ったよ 「いつ私は死ねるの?」って 夢を見ていた 夢の中にいたんだ これが現だと そう云っている 冷たい瞳で降り下ろす 返り血の色も馨りも もう麻痺ったように 感じない匂わない すべてが現だと そう云っている 痛みを感じた 君の体が冷たくなっていく 僕は胸が痛くなった この狂った輪廻で僕は嘲笑(わら)う 君を貫き 自我を喪いながら 「いつになったら抜け出せるの?」 「そうだね。この夢が醒めたらかな?」 そう云って また僕は君を刃で貫く いつまでも狂ウ
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