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上空に瞬く満天の星空と、大地を覆う暖かな灯火が見守る夜空の下。
戦禍残るベオグランド市街、ライアン邸の箱庭庭園に二つの影。
紫紺の髪を夜風に靡かせ、備え付けられたアンティークのウッドベンチに腰掛けるソルスの膝上にはとろんと目を潤ませるリーアの姿があった。
収穫間際の金麦のようなまばゆい生命の輝きを宿した腰元近くまでのゴールドの髪がふわりと揺れ、スイートピンクのネグリジェドレスがあどけなさが残るリーアの表情をより可憐なものに縁取る。
寝巻き用に着崩した白地のシャツから延びるソルスの逞しい片腕は膝上に座るリーアの背に、もう一方の手がリーアの後頭部の髪を、甘くも強引に引き寄せる。
互いの内に秘めたる想いを確かめあった後、いそいそとその場から立ち去ろうとするリーアの腕を引き寄せ、強引に膝元へ連れ戻したソルスにもう遠慮の文字はなかった。
重なりあう唇、貪るように落とされる激しい口付けは更に深い場所へと入り込み、リーアを責め立てる。
「……ふっ、あ……!」
初めての感覚に脳が痺れ、満たされる幸せと求められることへの戸惑いが脳裏を走り抜け、リーアを未知の世界へと押し上げていく。
ひたすらに与えられる甘い刺激を受け入れるように、力が入らない両腕を震わせながらソルスの首元に腕を回す。
その愛らしい程にいじらしい姿がソルスの欲望を掻き立てるということを、リーアは知らない。
「ごめん、……だめだ、止められない」
「――!!」
耳元に寄せられた強引さと裏腹に発される切ない声色に、思わずリーアは瞑っていた瞳をとろんと持ち上げた。
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