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「じゃあ、忘れればいいよ。今だけ」
事情を察したようで困ったように笑う朽木が抱き締めてくる。
私は何も言わず朽木に全てを委ねたーー。
べつに、棗が誰とどこにいようが知ったことじゃない。
棗だって私が誰とどこにいても気にしない人間だから。
だからさ、困ってんじゃん。
私は好きじゃない男に何度も抱かれるほど軽い女じゃない。
女ってそんなに軽いもんじゃない。
たださ、ハマっていくって言うの?
そんな感じで私は朽木に溺れていった。
朽木とセックスしている時が1番幸せだった。
時ヲ止メテ、欲しかった。
永遠ニ続ケバイイト、思っていた。
「誰の子か、わかんないんだよね」
寝ているであろう朽木に私は呟く。
髪を撫でながら何度言おうと思ったかわからない言葉を吐く。
「責任、とって。なんて言えないか」
まぁ、自業自得ちゃ自業自得だし。
妊娠なんて初めてじゃないし、でも慣れないものがある。
私はお腹に宿っている命を殺したくない。
やっぱり慣れない。
初めて妊娠した子を下ろしたときのことは今でも覚えている。
何度経験しても忘れられない。
もう経験したくない。
「ゴメンネ」
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