Chapter３ ゴスロリ禁止法

“ファザーがゴスロリ禁止法の法案を内閣に提出。今日中にも与党の過半数により、可決、明日午前０時に施行される見込み”

『ファザーってろくな法律作らないな』

「そうだな」

『じゃぁな』

おれは電話を切られてから「あっ！」と声を上げた。

ファザーのせいでゼロのことを聞くタイミングを失った。

ゼロのことを一瞬後回しにした脳ミソも恨めしい。

おれは入学式の日に配布された緊急連絡網のプリントが鞄に入れたままだったことを思い出し、引っ張り出して、奈良橋という顔が浮かんでこないクラスメイトに電話した。

奈良橋に『あ、そう』とひと言だけ返され、「次の人に連絡してください」と事務的な口調でさっさと電話を切る。