W.E.1年ー世界が光り輝いた日

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 兵舎に戻ると、隊長から隊員達に事態の説明があったが、隊長も全てを把握している訳ではないようで、彼の口から出てくる言葉は途切れ途切れで不明瞭だった。彼の話からぼくが理解出来たのは、事前にこの作戦を知っていたのは軍の中でも限られた人間だけだったということ。それだけだった。  ぼくたちはそれぞれ荷物を持ち、馬に乗って、道を走った。街を抜け、草原に出ると、ぼくらの隊の他にもいくつかの隊がラヒアへ向けて馬群を進ませているのが見えた。  国境にある検問所は全く機能していなかった。普段、国境を見張っているはずのラヒアの兵隊達の姿は見えず、ぼくたちはなんの障害も無く国境を越えた。
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