四季上学園(シキガミガクエン)

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 しかし、まさかその活動のせいであんな事件に巻き込まれるとは思わなかった。  楽しかった夏休みが終わり、重たい足取りで学園に向かう2学期の始まりである9月の日のことだった。  授業が終わり、放課後を迎えた僕は、真っ直ぐ『オカルトクラブ』の部室に足を運んだ。『オカルトクラブ』の部室は応接室になっている。  何故こんな部活にそんな豪華な部屋を、と思うかもしれないが、そもそも応接室と呼ばれていたのは数年前までで、今は新しく来客室が増築され、使われなくなった部屋を顧問の先生が手に入れてきたという訳だ。  「こんにちは」  ドアを開けて、中にいるメンバーに挨拶をする。  「……うーん、このパソコンはもう駄目ですね。新しいのを買うことをお勧めしますよ」  「そこを何とかしてくんない? 教師の身分だとパソコン1台買うのも辛いのよ」  「あれ? 二人だけか……?」  折角爽やかな挨拶で登場したのに……。  「あ、春風。お前の身内がパソコンの修理を生徒に依頼しに来たぞ」  ユキハラ フユゾラ  雪原 冬空が意地悪く笑いながら言った。  彼は僕のクラスメートにして親友だ。18歳だが、病気による長期入院で1学年下の2年生になっている。ちなみに、病気は今ではほとんど治っているらしい。
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