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「肉食系なのは見てくれですか、奏さんよぅ」
そう言いながら深古都はビシィッと奏を指差した。
黒目がちな大きな瞳に、緩くカールされた焦げ茶色の髪。長いまつげはぱっちりとした瞳の印象を助長している。ブラウンのカーディガンの袖は長く、すらりと長い指を半分ほど覆い隠していた。
数ある女子高生のジャンルの中でもオシャレなどに気を使っていそうな印象の奏は、周囲から誤解を受けることもしばしばである。
「見てくれだよ、本人そんなつもり全くないからね? なんか先生にも目つけられるしさぁ」
学校指定のカーディガンは確かに着ていないが校則の範囲内のカーディガンを着用しているのにちょくちょく注意を受けることもあり、奏は深く溜め息を漏らした。確かにスカートの丈は明らかに校則違反だが、それくらいのお茶目をしているのは奏だけではない。
「この前もピアス開けてないのに開けるなって言われてたよね」
深古都がそう言って笑い声を漏らすと、奏は頬を膨らませた。
「心外にも程があるよー……ノートちゃんと取ってるし、授業ちゃんと聞いてるのにさぁ」
「見た目で判断されちゃうのは仕方無いよ。いっそイメチェンでもしてみたら? がり勉風とかに」
「それはそれでやだ」
机につっぷしたまま、奏は首を振る。
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