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午後3時、サーベレット学園 森林区域にて。
「ハァハァ…っくそ!なんなんだよあれ!?」
緑豊かな木々に覆われた道を一人の少年が走り抜けてゆく。後ろには黒い影が後を追ってくる。
「もうついてくんなぁ!!!」
少年、ラクノス・ヴィルは大声で叫んだ。
~6時間前~
「なあラクノス、今日どうする?」
教室の自分の机に伏せて寝ていたラクノスは目をこすりながら体を起こした。
「あぁ…アンディか…おはよう。」
自分に声をかけた親友、アンディ・クルーザーに挨拶をして体を向けた。
ここ、サーベレット学園はサーバント育成機関の学園であり海に浮かぶ孤島、アルザス都市の中心に位置している。
サーバントとは魔法や能力を使える者たちの総称であり、ラクノスたちサーベレット学園の生徒はサーバントになるためここに通っている。
「んで、今日どうする?」
「そうだなぁ、ダンジョンって今日いけるよな?」
「了解。じゃあダンジョンってことで…っと、あと一人どうすっかな?」
「三人行動だったな、ダンジョンは…」
「あいつにするか。」
「あいつっ…」
「ラクノスいる!?」
ラクノスが言い終わる前に教室のドアが勢いよく開き、少女が入ってきた。
「シルレアかよ…」
「かよってなによ、かよって?せっかく今日ダンジョンに行こうって誘おうとしてあげたのに。」
シルレア・ロングは頬を少し膨らましながらそうつぶやいた。
教室はシルレアが入ってきたときに驚きの声があがっていたがもう普通に会話をしはじめていた。
「今から誘いに行こうとしてたんだよ。」
「え?ホントに?」
「ホントだよ。アンディが誘おうとしてたら急にお前が入ってくるから助かったけどな。」
ラクノスとアンディは少し笑いながらシルレアと話をした。
「ちょっと!笑わないでよ!私が一人で空回りしてたみたいじゃないの!」
「実際そうだろ?」
「そう、空回りだったな。」
笑いながら話す二人に対してシルレアは少し涙目になっていた。
「いいわよ!ダンジョンの入り口に先にいってるから!」
「おいシルレア?」
「うるさい!」
そう言い放ったシルレアは教室を飛び出して行った。
「あ~あ。やっちゃったな、これ…」
アンディの言葉にラクノスは頭を掻きながら「だな…」と小さく答えた。
教室を出て寮に向かった二人は寮へと続く坂を下っていた。
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