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東地下ダンジョンの入り口についた二人は辺りを見渡した。
「予想はしていたが、やっぱりいないな。」
辺りにはシルレアや犯人の姿はなかった。それどころか、いつもならいるはずの生徒や近隣の住民の姿も見えなかった。
「おかしいな、生徒ならまだしも住民までいないとは…」
「そんなことより早くシルレアを探すぞ。」
シルレアを探そうと動き出そうとするラクノスの肩をアンディはつかんだ。
「よく見てみろよ。」
アンディが指を指すほうを見てみると薄い緑色の糸のようなものがダンジョンの入り口へと伸びていた。
「これは…」
「さすが、こんな状況でも冷静だな。」
マーキング。
人形遣師だけでなく、傀儡使師やシャーマンが必ず身につける魔法の1つ。理由は多々あるが1番理由は仲間に居場所を知らせるためである。
「じゃあ、行くか?」
アンディの問いに答えるかのようにラクノスは一歩を踏み出した。
ダンジョンの中は冷んやりとしていた。
東地下ダンジョンは別名水虎の穴と呼ばれている。ダンジョン内には大きな地底湖があり、言い伝えだとその中に何かを封印したと言われている。しかし、言い伝えであるため誰も真実は分からない。
ダンジョンを進んでいくと同時に薄かった緑色の糸も濃くなっていった。
「近いな。」
ラクノスがつぶやいたとき二人は大きな空洞へとでた。
「やっときたか!ラクノス・ヴィルとアンディ・クルーザー!!」
声が聞こえるほうを向くと3人の男子生徒がいた。その後ろにはシルレアが手足と口を縛られて横たわっていた。
「お前らか!?シルレアを返せ!」
「タダで返すわけがねえだろうが!俺らとデュエルで勝負しな。」
デュエルとは、学園内での強化バトルプログラムであり普段は力試しに行うものだが、このように使うこともないわけではない。
「目的はなんだ?」
「決まってるじゃん、ポイント稼ぎだよ。」
らの問いに魔導師であろう相手の1人が答えた。
「俺らは今年こそ大天夜祭に出場するのさ!」
「大天夜祭だと…」
3人ののうち真ん中の生徒が言った言葉にラクノスは反応した。
大天夜祭とは年に1回行われるデュエル大会であり、出場する条件はポイントの成績が上位100名のなかに入ることである。ポイントはデュエルで勝つこと以外に4期制で行われる定期テストの点数がポイントとなる。
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