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そして現在…
「いい加減ついてくんなよ!」
ダンジョンから抜け出して約4時間、ラクノスは黒い影に追われて続けていた。
「なんで俺だけこんな目に会わなきゃいけないんだよ!!!!!」
自己回復魔法と速進魔法を使いながらなんとか黒い影との距離を保ててはいるがそろそろ限界が近づいている。
「ハアハア…そろそろエネルギーが切れるかも…」
魔力エネルギーは無限に使えるものではない。エネルギーはいわば体力のようなものであり、使い切れば当然動くことも出来なくなる。
「そろそろ諦めてくれよ…ってうわああああ!!!!!!」
黒い影の様子を見ようと振り向いた瞬間、ラクノスは木の根に足を引っかけてしまった。
「…いてててて。」
『やっと止まったか。』
「あ…」
起きあがったラクノスを黒い影が待っていた。
(終わった…)
『少々手間取ったがまあいい。戻るぞ』
「…へ?」
『戻ると言ったんだ。』
「戻るってどこに?」
『水虎の穴にだ。』
黒い影の言葉を聞いた瞬間、ラクノスは自分の体から力が抜けるのを感じた。
「…ハハッ。なんのために逃げてたんだか。」
ラクノスは笑いながら立ち上がろうとした。
が…
「…動けねぇや。」
魔力エネルギーの使いすぎで立ちあがることさえ出来なくなっていた。
『やはりな…まだ使いこなせてないんだな。』
「ん?なにを?」
黒い影の言葉を聞いて、ラクノスの頭にはハテナが浮かんだ。
『お前が使った≪ソウル・デザイト≫…あれは精神攻撃魔法だろ?』
「!?なぜ…その名を…?」
精神攻撃魔法、それは肉体的ダメージを与えるのではなく、直接精神にダメージを与える魔法の総称である。
『お前の成績が悪いのもそのせいである。違うか?』
「…あぁ…」
精神攻撃魔法は実戦向きではないため評価に値しない。つまり、実技試験しかないサーベレット学園では常に最低評価となってしまう。
『まぁこの話はあとでしてやるから今は戻るぞ。』
「だから動けねぇんだって。」
『おお、そうだったな。なら…』
黒い影がラクノスに近づく。
「おい?なにする気だ?」
黒い影は返事もせず近づく。
「まて!来るな!」
逃げようとするが体が動かない。そして、影はラクノスを包みこんだ。
「うわああああ!!!!」
影はラクノスの中へと入り込み姿を消した。
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