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「…ってあれ?なんともないぞ?」
体に異常がないことを確かめる。
『さていくか。』
「え?…ってちょっ!?」
影の声が聞こえたと思いきや、ラクノスの体は急に立ちあがった。
「え!?え!?どうなってんの!?」
『≪憑依≫というやつだ。勝手に体を動かすから安心しろ。』
「安心…できるかああああ!!!!!!!!」
ラクノスの叫びは虚しく響き、体は東地下ダンジョンへと向かった。
「ぎゃああああああ!!!!!」
『うるさいぞ。』
「なら止めろよ!?マジ無理だって!」
『これしか方法がないんだ。だから我慢しろ。』
「だからって速進魔法を3重にかけるなよおおお!!!」
速進魔法はスピードをあげる魔法である。それを3重にかけるということは…
「スピード違反だぞ!?これ300キロでてんだろうが!?」
という結果になる。
『気持ちいいだろ?』
「よくねえよ!!!!!!」
『ハハハッ!でもそろそろ着くぞ。』
影の言うとおり、目の前にはダンジョンの入り口が見えてきた。しかし、見えてきたのは良かったが問題が生まれた。
「おい、止まれるんだよな?」
『…しらん。』
「おいこらあ!!!!!なんとかしろよ!!!!」
そう、スピードがあまりにも出すぎているため制御ができなくなっていた。このままだとラクノスの体はぶつかってしまう。
「どうすんだよ!?なんか方法は…」
『このまま中に入る。』
「どうやってスピード落とすんだよ!?」
『お前のその力を使う。』
影の言うことが理解できないラクノスだったがひとまず入り口へと集中を向けた。
『いいか?中に入ったら精神攻撃魔法を自分にかけるんだ。』
「お前なに言っ…」
『いいから入ったら俺の言うとおりにかけろよ!』
「わ、分かった。」
理解はできていないがやるしかないと考えたラクノスは魔法式の組み立てに移った。入り口をなんとかくぐり抜け、中に入る。
『いいか?自分の足にブレーキをかけるように唱えろ。止まりかけたら精神が高まった状態を維持するように。』
「は?なに言ってんのか分からないんだけど!?」
『いいからやれ!速進魔法はもう解いてあるから!』
ラクノスは言われるがままに魔法陣を展開した。
「おりゃああああ!!!!」
地面をえぐりながら前へと進む。確実にスピードは落ちてきている。
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