11人が本棚に入れています
本棚に追加
幸子と別れて、まだコンサートの余韻に浸っていたかったふーこ。
いつもならタクシーを拾って家に帰るのだが、しばらく夜の街を歩いた。
そして幸子が言った、マルちゃんの視線…
最近、コンサートに行くたび視線が合う回数が多くなってることが気になっていた。
…たぶん気のせいだよね…
こんなおばさんに興味持つ訳ないし…
なんでこんなおばさん、いっつも見にきてるんだろ…
そんな思いで見られてるのかな…
…でももしかしたら、ほんとに私のこと…
そう思った瞬間、ぷるぷると頭を横に振った。
何、自分に都合のいいように考えてるんだろう…
欲求不満か!私は…
気がつくとふーこは小さな公園の前に来ていた。
なんとなく覗いてみると、公園の入り口の隅に、誰かが忘れていったのであろう、ひとつのバスケットボールが転がっていた。
その5メートル向こうにバスケットのゴールが、ひとつだけ見えた。
ふーこは、何を思ったのか、公園の入り口のバスケットボールを拾い上げた。
手つきよくその場でドリブルを始めた、そしてゴールに向かってドリブル…そのままジャンプシュート!
ボールはきれいにカゴに入った。
ふーこは、中学、高校とバスケをしていた。
身長は低いが、ドリブルの上手さとフリースローの正確さを買われ、常にレギュラー入りしていた。
だが、今はアラフォー…もう、何年もバスケはしていなかった。
今度は、ゴールから結構離れた所からボールを構えた。
この辺かな?スリーポイントシュート…
なんか…久しぶり!
そしてゴール目掛けてボールを投げた。
ボールはきれいな曲線をかいてゴールのカゴにすいこまれた!
「ナイスシュート!」
後ろから、誰かが叫んだ。
最初のコメントを投稿しよう!