8人が本棚に入れています
本棚に追加
その次の日の夜、ふーこの部屋に意外な人が訪れた。
「こんばんは、ふーこ?
久しぶり、流衣だけと…
お母さんにお線香上げに来たんだけど…」
「…流衣!」
ふーこは恐る恐る、ドアを開けた。
その時、ドアの上から包丁が落ちてきた。
包丁は、ギリギリの所でふーこの顔の目の前をかすめ、下に転げ落ちた。
ふーこはビックリして、玄関に尻餅をついた。
「危ないな!誰がこんな悪質なイタズラ…」
流衣は、ドアの上に、テープの後と、ドアについた紐を見つけた。
「ふーこ!大丈夫か?」
ふーこは、怖くて言葉が出てこない。
「大丈夫か?」
心配そうに、流衣はふーこに近づいた。
「とにかく、落ち着け。警察呼んでやる。」
しばらくして、警察官が三人やってきた。
写真を取ったり、事情を聴かれ、二時間位で帰って行った。
その間、ずっと流衣がふーこの代わりに対処してくれた。
「今晩、ふーこひとりにさせられないな。
俺、心配で帰れないよ!
ちょっと待ってて。」
流衣が誰かに電話をしていた。
「沙都に、来てくれるように頼んだから…」
…ホントは、俺がそばに居てやりたいけど…
そう思ったが、この後、大事な仕事が残っていたし、ふーこは俺と一緒には居たくないことは悲しいが、流衣にはわかっていた。
かと言って、あんな危ない目に合ったふーこをひとり残しては帰れなかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!