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「流衣!離して!」
ふーこは必死で抵抗した。
「お願いだよ、流衣!」
流衣は抱きしめた手をふーこの両肩に置きふーこを見ながら
「あんな若いやつなんか相手にするな。
どうせ、お前なんかすぐ捨てられる!
もっと現実を見ろ!」
ふーこは、頭を横に振りながら
「マルちゃんはそんないい加減な人じゃない!
流衣に何がわかるの!
あなたは、私を捨てたじゃない!もう終わったのよ私達!
私に指図しないで!」
一瞬、流衣が怯んだスキに、ふーこは流衣を突き放して部屋を飛び出した。
「ふーこ!」
靴も履かず、カバンだけを胸に抱え必死で走った。
流衣は心配になり、ふーこの靴を持って後を追う。
ふーこは振り向くことなく道路に出た。
その時!
ふーこの後ろから向かって来る一台の車があった。
少しずつスピードが上がっていく…!
「ふーこ!危ない!」
流衣の叫び声に振り向いた瞬間
まぶしいヘッドライトがふーこを照らし出した!
ドスンという鈍い音とともにふーこが車に跳ねられた!
「ふーこ!」
流衣が路上に転がったふーこに走り寄る!
「ふーこ~!」
流衣の叫び声にふーこは答えることはなかった。
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