エピローグ

1/1
前へ
/821ページ
次へ

エピローグ

「照彦…会いたかった。」 依子は俺に微笑む。 心なしか、照れた様に。 「依子…。」 「さぁ三須、言ってやれ。 私は全身骨折で彼方此方痛いのだ。 出来れば早く済ませてくれ無いか。」 満身創痍の探偵黒川姫百合が気だるそうに俺に催促する。 「やっぱりそれ、普通に考えたら死ぬんじゃないですか!?」 もっと他に言いたい事はあるのだが言葉に成らない。 兎に角、俺はこの超人を捨て置いて依子に駆け寄り、連れ添う様に寄り添った。 「依子…」 俺は依子の肩を抱く。 「あ、肩は抱かなくて良いからね。」 「あ、うん。 済まない…。」 「早く済ませろと言っただろう!バカップル共がぁ。」 「さぁ、照彦!今こそ私を抱きしめて!私の全てを受け入れて!」 依子は汚れ無き眼で俺に哀願する。 懇願する様に。 「依子…」 「あ、肩は抱かなくて良いからね。」 「あぁ、そうだったな。…済まない。」 この距離感がもどかしい。 「照彦…。」 俺を見上げる様に、俺の顔を覗き込む依子に なすすべ無くさまよっていた右手を翳して俺は指指すのだった。 「犯人は お前だ。」
/821ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加