第三十話

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「私は別に貴様には惚れていないが、その女に負けるのは悔しい。私を選んでくれると嬉しいぞ!」 「そんな理由で!?」 「何ならハグしてやるぞ!私とて、求められて嫌な気はせん。」 「フリーダム過ぎるでしょうが!!」 意外にも節操が無い黒川さんだった。 もう少しおしとやかに為さって下さい。 「む!!誘惑しようたってそうは行かないわ!照彦はそんな膨れた脂肪よりも、つるぺたが良いんだからっ!!」 依子が俺を抱き寄せる。 「依子さん…近いです。」 奴の肋骨が俺の頬骨に擦れて痛え。 「ねぇ??照彦、私が良いんだよねぇ??」 「う、うぐぐ…。」 返答に困る。 人の命が掛かっているのだ。 そして又、俺の命が。 この女は今、凶器を所持している。 俺一人が殺されて、その後黒川さんとスク水刑事の生存を約束される保証は全く無いのだ。 最悪の場合全員死ぬのだ。
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