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「優さん、ずっとこのポスター眺めてましたが…興味でもあるんですか?」
驚いて胸元を押さえながら聞くと正夢は疑いの眼差しでこちらを見てくる。
…ったく正夢は…
「あり得ん!!なんで俺が男なんかに興味持つんだよ、女の子なら話は別だが」
誤解を解こうとしただけだが、最後の言葉で正夢はまたムッとした。
…ほんと、何が言いたいんだよコイツ。
むすっとしながら正夢は言った。
「……じゃあ、なんで見てたんですか?」
「…いや、昔の知り合いにそっくりだったからな」
黒髪で切れ長の目、なんか無愛想だが人を惹き付ける顔……灰音そっくりだ。
正夢は「こんな顔が良い奴が優さんの知り合い!?」と失礼な事を言っていた。
…俺だって不細工とばっかり友達じゃないんだぞ!?ってか正夢、お前も顔が良い部類なのに…
まだなんかブツブツ言う正夢の服の襟元を掴み、引っ張る。
えーっと俺達が住む場所は…ニコニコ荘ってとこか。
……なんつーか、昭和の香りがするネーミングセンスだな。
そして俺達はやって来た……………築100年ぽっきりの、ぼきぼきおんぼろアパートに…
「……優さん、場所間違えたんじゃないですか?」
「あはっ、あはははは!!!!!だーよな!!ニコニコ荘とは書いてあるが違うよな!!」
…と、現実逃避してみた。
いや…だってさぁ~なんか廃屋のような雰囲気なんだもんよー……本当に人住んでるのか?
「あれ?…優、くん?」
いざ向かおうと足を踏み出したら、誰かの声がした。
それはとても懐かしい声で俺は振り返った。
金髪の天使のような髪を靡かせ、彼女は立っていた。
「は~つ~ね~ちゃぁ~ん!!!!ぶしゃ!!」
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