第壱話 けぶる街とジャンク商会

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自室に付き、僕はベッドに寝そべると中空を眺める。 午後からは、近くにあるカフェの手伝いに出かける予定だ。 それまでにしばらく時間がある。 何をして過ごそうか。 僕は満腹なお腹をさする。 センちゃんの朝ご飯は相変わらず美味しい、夕飯はハンバーグにすると言っていた。 沢山の野菜と、それから、おからが入ったハンバーグはセンちゃんの得意料理だ。 カフェでの仕事が終わったら、僕もセンちゃんを手伝おうか。 随分と、ここでの暮らしにも慣れてきた。 そんなことを考えていたら、ふと、僕の目の端に隊士服が映った。 この一カ月、袖を通していないそれが。 腐らずに、与えられた任務をこなすことは必要な事だとは思う。 僕は、意識的にそれから目をそらす。 一年だ。 僕は呟いた。 通常研修は一年で終わる。 それが終われば、僕は、巡士隊に復帰できる……はずだ。 少しずつまどろみに落ちていく意識のなか。 ーーなんだ、そんなに埃が大切かよ 初めて、会長に会った時の言葉が耳に響いた。
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