第弐話 赤毛と猫と金将会

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ごろんごろんと転がりながら、それでも何かを僕に叫ぶ少女、あっけにとられた僕の顔面にも、ふにっと柔らかい物が覆いかぶさる。 なんだこれ? 毛むくじゃらの、獣臭い。 ……。 「にゃあ」僕の顔に乗った獣は 、しっかりと僕の顔面に爪を立て、間抜けな鳴き声を上げて飛翔する。 思わず尻もちをついた僕はそのまま仰向けに倒れた「ひらり」と言うには聊か不格好な体で地面に降り立つマン丸。 余りに見事なその恰幅に、狸かと思ったが、どうやらそれは丸々太った猫らしかった。 したたかに後頭部を打ち付けた僕が、くらくらとする頭をふるいながら起き上れば、騒動はまだ続いているらしい。 少女は、まだごろんごろんと転がっていた。 まっ白で長い髪、エプロンドレスが翻り、下着がチラリと見えた「あ、ラッキー」などと思う間もなく、僕の顔面に再びふにっと柔らかい物が押しつけられる。 「巡士隊ならこのぐらい簡単にかわしなさいよ」幼馴染が見ていたならきっと、これ以上無いくらい眉間に皺をよせて。こういわれていたことだろう、なんだか、聞こえてきそうだ。 僕はもう一度、後頭部を強く打ちつけて、そのまま気を失った。
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