第壱話 けぶる街とジャンク商会

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下第三層十三区(しもさんそうじゅうそうく)は悪名高い。 理由は様々ある、居住区として、上三層、下三層の最下層に位置することももちろんだが、何よりも、本来、治安維持活動している巡士隊が不在と言うのが大きいだろう。 代わりに、幅をきかせているのが、金将会というヤクザ者の集団や、湯屋である、仙谷楼関係者、反政府を標榜する空蝉寺などなのだから、政府にしても頭が痛い地区だ。 十三区に本部を置く、金将会に至っては、他地区の博打場、風俗、麻薬なども取り仕切っているのだから質が悪い。 何故、この十三区がこのようになったのかには諸説ある。 曰く、政府が厄介者を押し込めただとか、旧政府のころから、ならず者の隠れ家だったとか。 ただ、一つはっきり言えることは、今のこの現状を作り出した、諸悪の根元は、かつて、英雄と呼ばれた、テオ・ドールにあるということだ。 ○ ジャンク商会の朝は早い。 ジャンク商会はかの悪名高い、下第三層十三区に居を構える、政府公認の私刑請負組織だ。 猫探しから、お掃除まで。を合い言葉に、それこそ、新装開店のお手伝いから、非合法の掃除まで依頼に応じて、様々な仕事をこなす。
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