俺の嘘と本音

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そう思いながら適当に興味もなく会話を続けていると、しばらくしてやはり容姿を褒めてきた。 その時点でまたかと思ったし、興味をなくしそうだったが最後に言われ一言は 「爬虫類顔ですよね。」 正直、褒め言葉には聞こえなかったどころか、初めて容姿でマイナスの事を言われた気さえした。 いや、マイナスなのか?それすらも分からない。 やはりちょっと面白いかもしれないと思い嬉しくなる。 その後も、俺に面白いことを言おうと必死なのが分かった。 彼女の中での何らかの闘争心に火をつけてしまったらしく、さっきよりもだいぶ突っかかってくるようになった。 (やっぱり、ちょっと面白いな。) 立花蓮、彼女の第一印象は<俺を女と間違えたちょっと面白い男女>だった。 帰り際、二次会へも碓氷と楽しそうに消えていく立花さんが見えた。相当仲がいいのが分かる。 時折、碓氷の背中を小突いたり罵倒しあったりしていたが、じゃれあっているようにしか見えなかった。 碓氷は碓氷で、本当に気のおける友達らしく、屈託のない笑顔で楽しそうに笑っていた。 俺はそれを見て、なんとなくいいなと思った。 それはほほえましかったのか、がらにもなく俺もあんな風にできる同僚が欲しくなったのか、それとも俺も立花さんとあんな風に話せるようになりたかったのかは正直分からなかった。
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