俺の嘘と本音

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俺はその後も、毎日を忙しく過ごしていた。 合併前の詰めの仕事などで追い込みの状態だった俺の部署は、皆昼夜問わず働いていた。 たまに早く終わる日には雪村と碓氷と飲みに行くが、予定と言ったらそのくらいで、唯一の息抜きだった。 そうしてまた次の土曜日に飲む話になった。 雪村に全て任せていたが、直前になってどうせなら同年代の飲み会にしようと言いだした。 女好きの雪村は乗り気で、水を差すのも何だったので俺はどっちでも良いと言って承諾する。 メンバーにはうちの社の一之瀬さんと九十九さん、そして碓氷の同僚・立花さんを考えているらしかった。 (雪村も結局面食いじゃねーか。キレイめな女ばっか。) 同じ社の二人にはすぐに連絡がつき、土曜日に集まれることが確認出来たらしい。 その後、雪村が碓氷に聞いて立花さんに連絡を入れると言っていた。 俺は、何となく立花さんのアドレスを雪村に聞いた。 そうして、碓氷に直接連絡を取らせればいいのに、わざわざ自分から連絡を取りたいと回りくどい方法を取った雪村を、からかってやりたかった。 「雪村にばかり任せているのも悪いし、折角教えてもらったから立花さんには俺から連絡しておくよ。」 「ええ?!なんだよそれ!俺が教えてもらったのにずりーよ!」 「なんだよ、俺が珍しくやる気になったのに。 それとも雪村は立花さんと仲良くなるためにわざわざ三人での飲み会を六人に変えたのかよ? 親友の俺に嘘ついてまで仲良くなりたかったんだ? 俺はお前と碓氷と飲むのが心休まる唯一の時間だって、お前は知ってて女を選ぶんだ?」 無茶苦茶な論法だったが、いつもあまり喋らない奴が饒舌になると言うだけで冷静な判断を欠くものだ。 単純な雪村は見事に罠にかかる。 「おまえ、俺らと飲むのそんなに楽しみにしてたのか……。 『親友』なのに気づいてなくてごめん! そうだな、折角おまえが俺らと意外との飲み会にやる気出してるんだから、幹事少し手伝ってもらおうかな!じゃあ立花さんには連絡頼んだよ!」 『親友』がキーだったらしく、ご機嫌な雪村は俺の手の上で転がされる。 「俺、お前のそういうピュア(でおバカ)なところスキ。」 「何だよ、気持ち悪いなー今日はどうしたんだよ凛!」 そうしてまんまと俺は立花さんに連絡入れる機会を得た。
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