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息も切らさずにジョージがいった。
「助かったよ。だけど、よくぼくたちだとわかったね」
スリランが浅黒い顔で笑うと、歯だけが暗がりに浮かびあがった。
「いっただろ。そっちの逆島中将の息子に暗殺予告がでてるって。うちの班はずっときみたちの後を追ってきたんだ」
テルが鼻息も荒く返事をした。
「誰がウルルク野郎に、ボディガードを頼んだんだよ。あいつらくらい、おれたちだけでフルぼっこにしてやれるさ」
ジョージは足元からなにか拾いあげた。夜の林のなかで、その黒いものの形は判然をしない。
「ほんとうにそうかな。これを見るといい」
ジョージが黒いものを高くかざした。今度は形がよくわかった。夜間戦闘用に黒くテフロン加工された両刃のナイフだ。刀身の長さは20センチほどある。殺すためのナイフだ。
「あいつらがぼくたちをなめずに、最初からこれをつかっていれば、戦況はまったく別物になっていただろう。全員無傷という訳にはいかなかったはずだ」
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