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 スリランと巨漢のカイが黙ってうなずいた。ジョージがいった。 「ここから3組第1班は第7班と行動をともにする。養成校に帰投するまで、共同戦線を張る。わかったな?」  ジョージには一切の迷いがなかった。タツオとは違い、生まれつきリーダーの資質をもっているのだろう。鼻っ柱の強い力自慢のテルさえ、文句ひとついわなかった。  8人の男子生徒は背嚢と模擬銃をかついで、再び行軍訓練にもどった。丘のうえにのぼると、満月に2日ほど足りない月が真上にかかっていた。襲撃者が小走りで丘を駆けおりていく姿が豆粒のように見える。  お調子者のクニが両手をメガホンのように口に当て、叫んだ。 「いつでも、こい。弱虫野郎。養成校の恥さらしめ」  ジョージは周囲を警戒しながら、微笑(ほほえ)んでいた。タツオにささやく。
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