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 身体を揺さぶられた。クニの顔がすぐ近くにある。ここはどこだ? ジャングルで死にかけているのではないか。クニはあわてて戦闘訓練用の制服に着替えながらいう。 「悪い夢でも見たのか。汗だくだぞ。あと3分半。遅刻すれば、また全員で腕立てだ。タツオ、急げ」  タツオはベッドから跳び起きた。腕時計を見ると、まだ深夜の二時だった。いきなり招集をかけられても、4分で制服に着替え、校庭に集合しなければならなかった。遅刻をすれば、1秒につき1回の腕立て伏せが待っている。班の連帯責任で、3分なら180回の腕立てをしなければならない。  タツオは全速力で、制服を着こんだ。もう暗闇のなかでさえ、迷うことはない。面倒なのはパンツの前立てがファスナーではなく、ボタン留めであることくらいだった。ファスナーは砂でもはさめば閉まらなくなる。
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